大人のRIKA教室

第2回講演会「地上に太陽をつくる」(7月15日)

シリーズ・これからのエネルギーを考える②

講師
講演風景金子修先生: 笑顔で分かりやすい説明をしてくださいました
金子修 (核融合科学研究所 副所長)
参加人数
34名
場所
小牧市中部公民館
日時
2012年7月15日(日) 14:00~16:00
講演会のお知らせ(チラシ)

土岐市の核融合科学研究所副所長の金子修氏をお招きして、「地上に太陽をつくる」と題した講演を行っていただきました。

講演趣旨

私たちの生活に必要なエネルギー

講演風景熱心に聞き入る参加者の皆さん

我々の暮らしに役立つエネルギーはほとんどが「運動エネルギー」である。その運動エネルギーを他のエネルギーから様々な方法で変換する(風や水運動エネルギー、弾性エネルギー、化学エネルギー、電気エネルギーなどから)。エネルギー源にはガソリンやガス、電気などがあるが化石燃料には掘削に限界がある。現在の世界は、エネルギー利用に大きな不均衡が生じている。全世界人口の2割の人間が、全世界のエネルギーの8割を消費している。我々日本人が送っている文明生活を世界中の人たちが送るためには約4倍のエネルギーが必要となる。埋蔵量・消費量・コストの動向から将来を予想すると、20年先には新しいエネルギー源が必要となる見通し(石油の生産はすでにピークを超えている)。電気エネルギーとして供給するのが最も利用しやすい。

発電タービンを回転させるしくみには、水力・風力・水蒸気(火力・原子力)があり、また太陽光発電というしくみもあるが、水蒸気を用いるのが効率が高く安定した出力を得る上でも有効である。

核融合とは

太陽は熱いガス・プラズマの塊である。太陽の中心では核融合反応により熱と光のエネルギーが生み出されている。核融合を利用した発電は、いくつか優れた点がある。核融合発電のしくみは、中性子の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して熱を取り出す。燃料には重水素と三重水素を用いる。三重水素は熱を取り出した後の中性子をリチウムと反応させて炉の中で作る。重水素は海水中に50兆トン、リチウムは2000億トン含まれており、無尽蔵と言って良い。ポリタンク1杯の海水から取り出せるエネルギー=ポリタンク250杯分の石油

原子力(核分裂)と核融合

原子力と比較した安全性について

燃料:原子力の場合、燃料(ウラン)が勝手に燃える。「いかに燃やさないように」制御するかが問題→ 失敗すると暴走する。また、核廃棄物が長寿命の高レベル放射能をもつ。

核融合は、燃料の重水素と、三重水素を超高温にしないと燃えない→失敗すると停止する。廃棄物は無害のHeガスである。

問題点

核融合は1919年にラザフォードにより発見され、エネルギー源として期待されたが、実現が難しい。原子核同士(+)をぶつけるためにクーロン力を超える状態を創成しなければならない。これらの問題点をクリアするために、1950年代から様々な努力が重ねられてきた。核融合の研究は実はプラズマの研究である。高温プラズマを閉じ込めるために、トーラス状に捻られた構造を持つ磁場の容器を作る必要がある。これには磁場を作るコイルを捻る方法(LHD)とプラズマに電流を流す方法(トカマク)がある。また、プラズマの中で核融合を持続させるには、①高温:1億℃、②高密度:100兆個/cc、③閉じ込め時間:1秒間を同時に達成させなければならないが、これらの技術開発等により長年の研究成果が出始めている。核融合研究は、冷戦時代から世界の研究者たちが共同で研究を進めており、平和利用の象徴である。現在、世界の7極(日、欧、米、ロ、中、韓、印)が共同でフランスCadaracheにて国際熱核融合炉ITER(International Thermonuclear Energy Reactor)を建設中であり、2027年には核融合反応で50万キロワット相当の熱を発生させる計画である。

講演風景

おわりに

原始生物はエネルギー源として窒素を利用していた。しかし、ある時、酸素を利用する生物が現れると、その生物は酸素が作り出す強大なエネルギーを得て世界を席巻した。しかしその一方、活性酸素という「毒」を体の中に抱え込むことになった。エネルギーの福音はリスクを伴うことを忘れてはならない。高度な科学技術を用いたエネルギーを利用する社会の原則として、心がけたいことは以下の通りである。

  • リスク評価は科学である ⇔ 無知はリスクを招く
  • リスク低減は技術である ⇔ 盲信はリスクを招く
  • リスク管理は施策である ⇔ 詰めの甘さはリスクを招く
講演風景

参加者の感想

  • 核融合という名前は聞いたことがあったが、しくみについて初めて詳しく知ることができた
  • 理解するのが難しかったが、原子力発電との違いを知ることができた
  • 歴史的背景を勉強することができてよかった


ウェブ サイト内
後援:春日井市教育委員会