大人の RIKA 教室

H26 年秋期 第 2 回 (11 月 15 日)「質量の起源」

講演会お知らせ
講師
手嶋 忠之 氏
日時
11 月 15 日 (土) 14:00~16:00
場所
中部大学 5211室 (5 号館 2 階)

講演要旨

昨年、CERN (欧州原子核研究機構) で素粒子の質量を説明するヒッグス粒子が発見されました。

素粒子の理論では、素粒子の質量はヒッグス粒子との相互作用を通じて作られるのではないかと長い間考えられていたのですが、このヒッグス粒子の発見でそのことの正しさが検証されたことになります。

質量は運動方程式の中に現れますが、この場合、クォークのような物質の質量は有限の大きさとして現れ、電磁相互作用を媒介する光子、弱い相互作用を媒介するウィークボゾンの質量は 0 となります。

ところが、ウィークボゾンの質量は非常に大きな値を持つことが分かり、このことを説明するために、ヒッグス粒子との相互作用を考える必要がでてきたのです。

上記のような微視的な素粒子の運動を考える場合は、質量が作る重力の効果を考える必要はありませんでしたが、

宇宙規模の天体の運動を考える場合には、質量の作る重力が大きな役割を演じます。

目に見える天体の作る重力は上記で見た物質の質量で説明がつきますが、それでは説明のつかない「暗黒物質」というものの質量があります。

これらの質量の起源が何であるのかということについても見てみたいと思います。

講演内容 - 質量の起源

我々は軽い重いといろいろあるにせよ、大部分の物質には重さ (物理では本来質量と呼ぶものですが重さで代用します) があることを体験的に認識しています (光は質量がないこともご存知の方も多いと思いますが)。

では、その重さ (本来は質量) はどうして生じたのでしょうか?

そこでニュートンの運動方程式 f = ma が活躍します。

これは f という力がかかったとき加速度 a が生じるという式で、ここで m は電気でいう抵抗のようなものです。f が一定で m が大きくなると、その物体は動き難くなります。つまり、動かせば重さが運動方程式を通じて測ることが出来るようになるのです。そこで注目されたのが対称性を破ればある方向 (抽象的ではありますが) に動き重さを測れるようになります。この方法は固体物理の研究で磁性をもつ方向が一方向に定まるのですが、この際に対称性が破れている訳です。

さらに暗黒物質の存在についても議論されました。

講演を終えての感想

  1. 何十年振りに大学の数学の授業を思い出しました。あまり理解出来ませんでした。
  2. 久しぶりにやや本格的な物理の勉強をすることが出来ました。質量の起源が難解でしたが何となく理解出来ました。
  3. 物質の質量のお話しはとても専門的なお話しで、とても難しかったです。
    方程式も m が何であったかも忘れていて理解するのが難しかったです。
  4. 今回の内容については門外漢で理解しにくかった。ただ、新聞などで新しい用語も出てくる。 今回、まとめていただいた資料は手元に置いて参考にでもできればと思います。
  5. 物理学は苦手分野で、話について行くのが大変でした。
  6. 今回は私のレベルより高くあまりわかりませんでした。

全体の感想に対する答

私の話に対しまして 左に挙げましたようなご感想、ご質問をいただきました。 以下、少しご返答をお書きしたいと思います。

先ず、今回ご出席の方の中には、物理が苦手とか門外漢という方もおられましたが、「まとめ」にも書きましたが「すべての物質のもとになっている素粒子の質量は、ヒッグス粒子との相互作用によって生じている」ことだけはおわかりになっていただけたと思いますし、このことだけは覚えておいていただきたいと思います。

さらに、素粒子の中には、クォーク、レプトンといった物質のもととなっている素粒子、力を媒介する光子とかウィークボソン、さらに真空を満たしていて、 他の素粒子に質量を与えるヒッグス粒子があることは、覚えておいていただくと良いと思います。

質量について数量的に考えるときには運動方程式:「質量 X 加速度=力」が必要になります。微視的な世界を取り扱う量子論、また、光速に近い運動を取り扱う相対論では、 運動方程式が普段見慣れない形の数式なってしまい、そのために皆様戸惑われたのではないでしょうか。講演ではそのような式を書きましたが、この式の意味をすべて分かっていただかなくてもよく、素粒子の質量を議論する場合は、運動方程式が基本になっているのだということさえわかっていただければ良いと思っています。

講演の様子

講演の様子
講演の様子
講演の様子

講演後の質疑応答

Q
微視的世界に登場する「新素粒子」は今後も可能性はありますか? それは暗黒物質との関係がありますか。
A
「新素粒子」の発見は、可能性はあると思います。それらは暗黒物質と関係があるものもあるでしょう。
Q
先ほどの運動方程式の説明の時、わからなかったので質問します。Ψ, Λ, Φ とは何ですか。
A
Ψ, Λ, Φ はゲージ変換に登場する場で、Ψ は電子の波動関数、Λ は電磁場 Aμ をゲージ変換する場、Φ は電磁場 A0 を書き直した場です。
Q
今回は数学的要素が多く難しい。今一度数学から学び直したい、と思う。
クォーク、レプトンなどの言葉がユニークについているのは不思議に思う。
A
素粒子の名前は基本的にその性質がわかるような仕方で命名されていて、レプトン (lepton) という語はギリシャ語の「軽い」という意味 (leptos) に粒子を意味する接尾語 (-on) をつけてできました。クォークだけはそのルールではなく、ジェームス・ジョイスの小説の中に出てくるカモメの鳴き声からとられたといわれています。
Q
量子力学の発達は、今わかっている現象から導かれる理論を測定、実験して確認しますが、新たな事実と、理論の整合性がとれなくなると、理論が白紙に戻るような事態もあるのでしょうか。
今構築されている理論が何十年か先に否定される可能性はまだありますでしょうか。
A
理論に対して新しい知見が加わることにより、その知見と整合するように考え方とか概念が深化し、理論が変化することがあるかと思いますが、今までの理論が白紙に戻るとかその理論が否定されることはないと思います。


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