大人の RIKA 教室

平成 27 年春期 第 3 回 (6 月 6 日)「恐竜たちが私たちに教えてくれること」

講演会お知らせ
日時
6 月 6 日 (土) 14:00~16:00
場所
中部大学 5 号館 2F 521 室
講師
工藤 健氏

イントロダクション: 「地球生命史」について

講演の様子

地球上で約40億年前に偶然、物質に命が入った最初の生命体については不明。

地球上の大事件をかいくぐって一度も失敗をしない命のバトンリレーを40億年間続けて、今、「地球史」について考えることのできる私たちの存在は、宇宙史上でも実に奇跡的。

古生代(5.5億~2.5億年前まで)→ 中生代 (2.5億~6500万年前まで)→ 新生代

講演の様子

古生代以前については地球表層の活動のため、化石が残っておらず、生命史は謎に包まれていた。最近は顕微鏡で化石を調べられるようになり、古生代以前についても研究が始まっている。

恐竜の生きた時代は中生代。

恐竜の生きた時代(中生代)

2.5億年前(古生代/中生代境界)

95%もの生物種が絶滅したらしいと考えられている。

古生代には沢山いた三葉虫は中生代に入ると見つからなくなる。

超大規模な火山活動が起き光合成生物が死滅したため、地球上に酸素が供給されなくなったのではないかと考えられている。パンゲア超大陸の移動・分裂期と一致している。大洋底に降り積もったこの時代の地層は、鉄が酸化していないため黒色で、その後の時代の地層はチャートと呼ばれる酸化鉄を含む赤い層に変化している。これらの地層を乗せた海のプレートが大陸の下に沈み込もうとした時、偶然その一部が現在の岐阜県各務原市に顔を出していることは世界的にも貴重である。

2.5~2.1億年前(中生代・三畳紀)

講演の様子
講演の様子

古生代は我々の祖先が川から陸へ上がった時期(魚→両生類→哺乳類型爬虫類)である。中生代に入ると爬虫類の急増→約1mの恐竜の出現。

2.1~1.4億年前(ジュラ紀)

講演の様子

草食恐竜の巨大化、始祖鳥の出現。

史上最大級の草食恐竜のブラキオサウルスは体長25m、体重23~50t。以前の図鑑では水中生活を行っている図が掲載されていたが、近年の研究で横隔膜がないため水中での呼吸が難しいことや地上に足跡が見つかるなど、水中生活には適さず、陸上を歩いていたことが主流の学説になっている。尻尾を引きずった跡が見られないため、吊り橋構造のように持ち上げて歩いていたと考えられている。

1.4億~6500万年前(白亜紀)

講演の様子

映画「ジュラシック・パーク」でT-Rexが描かれていたが、T-Rexが登場するのは白亜紀に入ってから。体長は12m、体重は6t。発見当初は頭部のみであったため、他の恐竜の導体や手をつなぎ合わせた想像図で描かれた。50年程前は尻尾を引きずり、直立に近い姿勢で腕が長く描かれた「怪獣」のイメージでとらえられ、映画「ゴジラ」のモデルにもなったが、その後全体の骨格が発掘され(愛・地球博でも展示された)、凶暴で獰猛なイメージの見方は誤りであるとの研究見解も出されている。体重が重く足が遅いため、ハイエナのような「死体の掃除や」の可能性が指摘されている。ただし、以前からの「凶暴な」T-Rex説を支持している学派とは平行線。

白亜紀後期に登場したラプトル恐竜

「ラプトル」は “泥棒” の意味。卵に覆いかぶさる化石が見つかったため、この名前がつけられたが、その後の研究で実は巣を守っていたことが判明した。体長2m、体重50kg。2足歩行の肉食恐竜。脳が大きく、賢いと考えられている。動きが俊敏で群れで狩りを行っていたようである。さらに現在直立歩行ができるのは鳥類と人類のみであることなどから、恐竜温血説が浮上。恐竜は絶滅するが、このラプトルが6500万年間絶滅していなければ、“恐竜人類”に進化していた可能性も…?

我々哺乳類の祖先は当時ネズミのような姿で、樹上に追われ、逃げて生活をしていた。

トリケラトプス

体長9m、体重は5~6t。恐竜絶滅の最後まで生き残った種。草食恐竜。

恐竜の時代の終わり

中生代末(白亜紀)- 新生代の境界の地層では、恐竜・アンモナイトなどの多くの生物が絶滅した様子が見出される。絶滅の原因は当時地球上にない物質が数cmに降り積もった地層として発見されること。これは宇宙から隕石が衝突したことを裏付ける。30年前にカリブ海、ユカタン半島北西端に埋没している巨大クレータ(径100km、深20km)が発見されたことにより、10kmサイズの隕石が衝突したことが分かっている。放射性年代測定によりこの隕石は6500万年前のものであることが判明。これにより巨大隕石衝突は恐竜絶滅の主な学説となっている。2014年、ネイチャー誌に「6500万年前のインド亜大陸火山噴火の証拠」が発表された。隕石衝突と火山噴火が同時期に起こり、恐竜絶滅の引き金となったのかもしれない。

その後の恐竜、我々人類につながる命

恐竜が絶滅したおかげで、哺乳類は進化を遂げ、現在の我々の存在がある。我々はなぜ、心があるのか。その後の地球温暖化、地球寒冷化が繰り返され、哺乳類は樹上生活から目の機能を発達させ、立体視ができるようになる。エサがなくなったため遠くの物を探す必要が出て遠くが見えるようになる。相手の顔色を見ることは有利になる。これが「心」と言われるものの始まりでは?人類は他の動物よりも表情筋が発達し、相手に意志を伝える「コミュニケーション能力」に長けた生き物である。

私たちが今、ここにこのような形で存在しているのは偶然に偶然を重ねた奇跡によるものである。地球の歴史と恐竜、そして40億年間の命を絶やさずバトンを渡し続けた神秘に時には心を向ける時間を持つことも、現代人にとっては大切なことかもしれない。

恐竜は絶滅したと考えられていたが、現在の最新の研究では、「恐竜が鳥に進化した」説が様々な証拠から避けられない真実となりつつある。生物種の系統分類を見直す必要性がある。中国で様々な恐竜の化石が見つかるが、羽毛・色素の跡は鳥と全く同じで見分けがつかないほど。

Q&A

Q
恐竜の歩くスピードはどれくらいだったのですか?
A
大腿骨と脛骨の長さの比で調べます。さらに体重と速度にも相関性があり、それらの要因と現在生きている動物のデータを比較して推定するようです。プラスマイナス10km/h程度の誤差はあるとおもいますが、ダチョウとそっくりな骨格の恐竜で、80km/hで走ることができた者もいるそうです。
Q
恐竜の巨大化はなぜ起こったのですか?
A
大きいものですと体重数十トンはあったのですが、中生代は平均気温が20~30°Cと、現在(14°C)より高かった。2.5億年前以降は火山活動が活発化しCO2の量も多く植物も繁栄した時代で食べ物や住処に困らなかったせいでしょう。
Q
最近の地震や火山活動が頻繁に起こっていることについて
A
最近の地震活動は2011年に起こったM9.0規模の地震が引き金になっているものが多いと考えられます。また、過去に起こったM9クラスの地震では、必ず数年以内には近くの火山が噴火しています。御嶽噴火は小さい規模のものです。もう少し大規模な火山噴火が起こってもおかしくありません。マグマは圧力で抑え込まれており、圧力を急激に下げると発泡します。コカコーラ缶を振った後に開けると噴出するのと同じです。
Q
小笠原の地震はどう考えればよいか
A
深い場所(600km以上)で起きた地震で、地震の波が伝わり易い層を伝って震源から遠くても地面が強く揺れる場所が生じました。東北地方太平洋沖地震を生じさせた太平洋プレートがこの震源までつながっているが、今回の地震は沈み込むプレートの先端部分で起きたもの。
Q
一体地球は今、温暖化しているのか、それとも寒冷化しているのか。
A

温暖化を唱える説と寒冷化を唱える説の時間スケールがかみ合っていないのが一般の方が理解しにくい原因。1万年単位の長いスケールで見ると気温は下がっている。数十年スケールで見ると気温は上がっている。

地球の過去から学ぶことの大切さ。火山活動などにより、CO2が増加するとある程度の長期間ではこれを歓迎する生物が増加する。急激に温暖化すると逆に寒冷化のスイッチを入れてしまうことにもなる。6億年前、地球が寒冷化したが、この直前にはCO2が増加し温暖化したことが判明している。現在の地球は海中に地上の50倍のCO2が溶け込んでおり、海中の生物はそれを体内に取り込み海底に炭素を固定する役割を果たしている。

このような複雑な地球システムは、「地球シミュレーション」のプログラムに全ての因子を入れることは難しく、国連IPCCの発表した3段階の温暖化シミュレーションの結果は全てを反映させたものか、正確さに関しては疑問点が残る。

このような問題に対する推論は、最低でも30年位たたないと成否の判断が難しい。

地球物理学は、どの研究者も自分一人の研究だけで結果が出る分野ではない。今後ある程度、長い時間をかけて結果が分かっていくことでしょう。

参加者の感想・質問、講師からのコメント

  • 6500万年前、恐竜の絶滅がなかったら…という話は面白かったです。今、地球は温暖化なのか寒冷化なのかの議論も面白いです。
  • コメント:私たちは、この世に起こった偶然の積み重ねの結果、存在しているのですね。
  • 恐竜の絶滅の原因が、隕石が衝突したというのがもう定説であったと思っていましたが、まだくつがえる可能性があると聞いてびっくりしました。
  • コメント:隕石衝突が最大の原因であることは今後も揺るがないのではないかと思いますが、世界中の科学者がこの時代に注目していることから、さまざまな別の要因を示す証拠が見つかりはじめています。
  • 化石の発掘方法がよく分かりませんでした。地中に埋まっている状態がどんな方向なのか分からない状態で掘り続けると間違って切断してしまう危険性はないのでしょうか。
  • コメント:そういった事例も少なくないようですが、最近では、重要な化石の“端”がみつかると、重機なども用いて周辺の岩石ごと切り出し博物館等に持ち込みます。そして室内で刃先が振動するような機材を用いて慎重に岩石を取り除いていきます。
  • 自分が小さい頃、教えてもらった恐竜と現在の科学で分かった結果による恐竜の生態の違いがあってとても面白いと思いました。また、偶然生き残った人類、私たち自身の生命は大切なものであることを実感しました。
  • コメント:新発見によって毎年あたらしい恐竜像や生態が明らかにされていきますね。本日のお話も、あと何年持つのか…(汗)。
  • とても楽しく興味深い話でした。
  • コメント:ありがとうございます。こちらこそ、楽しい時間をありがとうございました。
  • 知らない興味のある話が沢山あり、今までで一番の教室でした。
  • コメント:おそれ多いご感想、ありがとうございました。
  • 歴史の一部が変化しただけで現在の人類がまた別の生物になっていた可能性がある。早大な歴史のロマンを感じる講座でした。
  • コメント:ほんとですね。今自分がここに居ることが信じられなくなってきますね。
  • 恐竜は人が想像しながらその想いを入れて形造られたとの見方は面白い。理論的な研究は夢を壊すけれど、新しい知見をインターネットや新書などで入れてみたいと思いました。
  • コメント:科学は、あたらしい証拠を手に入れたときに、一旦それまでの思い込みを捨てなければなりませんね。
  • 人類が恐竜類と頭の中で混ざり合ってしまいました。時間スパンが大きすぎて想像できません。地球温暖化はやはり時間が進まないと実際現象が分からないということでしょうか。ありがとうございました。
  • コメント:真偽が明らかになるのはかなり先になるけれど、今対応しなければ間に合わない危機がせまっているという科学者が多数存在する。さてそのとき我々人類は今、どうすべきか?という問題ですね。
  • 長い地球の歴史の中で恐竜が生きていた時代がどのようなものであったかということを、あれこれ想像できる興味深い講義でした。恐竜が滅びたことで私たちが現在、地球上の生物の頂点に君臨していますが、次に滅びるのは人類かもしれない。そういうことを考えると命があることに感謝し、毎日を大切に生きていくべきだと実感しました。
  • コメント:「毎日を大切に」本日のお話しをそんなふうに感じ取っていただき、こちらが勉強になりました。ありがとうございます。
  • 恐竜については小中学生のときに習ったきりです。それを思い出しました。大分変っているようですね。
  • コメント:これからも、どんどん変わっていくかもしれませんね!?
  • 恐竜絶滅は、巨大隕石が原因とよく聞きますが複数の隕石の落下なのか隕石の衝突により地震や火山噴火等により寒冷化したことによるのものなのでしょうか。
  • コメント:一回の隕石衝突が原因というのが最有力説ですが、火山噴火や、隕石衝突の前に恐竜が減少していたという報告もありますね。


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