大人の RIKA 教室

平成 27 年秋期 第 2 回 (11 月 7 日)「太陽地球間物理学の紹介」

~太陽-惑星間空間-地球の間で起こる種々の現象~

講演会お知らせ
日時
平成 27 年 11 月 7 日 (土)
場所
中部大学 521 講義室
講師
袴田 和幸 氏
概要
レジュメ『太陽地球間物理学の紹介〜太陽-惑星間空間-地球で何が起こっているか〜』(PDF)

講義概要説明

【概要】

太陽地球間物理学は近年確立され、宇宙天気予報などに応用されている。

今回はオーロラの生成を 3 段階に分けて解説していただきました。

太陽・黒点と光球磁場 (太陽の光球磁場がコロナを生成する)

入門編

電磁波には可視光線、紫外線、赤外線、X 線などがある。

太陽スペクトルのエネルギー分布は

  • 赤外線 52 %
  • 可視光線 41 %
  • 紫外線 7 %
  • X 線 10-3 %
  • 電波 10-10 %

1 AU(天文単位) は 1 億 5 千万 km
=1.496×10^11m/6.690×10^8 m
=215 太陽半径 (R)→太陽と地球間は、太陽が 100 個入る距離

  • 水星 1 AU
  • 金星 1.9
  • 地球 2.6
  • 火星 3.9
  • 木星 13.4
  • 土星 24.6
  • 天王星 49.6
  • 海王星 77.7
  • 冥王星 102.1

太陽の構造

太陽の内部はガス状になっていると考えられているがまだ不明な点が多い。

コア、ガスの対流層、輻射層、光球、彩層から成り立っている。

講演の様子 太陽内部と大気の構造

光球面の現象

大きさ、寿命、温度で分析されている。

  1. 粒状斑
  2. 振動斑
  3. 超粒状斑
  4. 黒点
  5. 白斑
講演の様子 ガリレオの黒点移動観察 →「太陽が動いている」ことを発見
講演の様子
相対黒点数
講演の様子 太陽の構造

黒点の分類 (チューリッヒ)

  1. いつ、どこに見えたか (スケッチ) 面積が大きくなって消滅する
  2. 磁場による分類

相対太陽黒点数の 400 年間の移動

西暦 1600 年~現在までのデータグラフを分析すると、周期的に増減している (ダイナモ理論)

講演の様子 講演の様子 (太陽の磁場変化)

黒点群と光球磁場

差分回転による光球磁場の生成について
講演の様子 光球磁場の極性と強度

自転周期の求め方について

自転周期 T=26.90+5.2sin2φ[日] で求められる。

  1. φ=0°(赤道付近) では T=26.90[日]
  2. φ=30°では T=28.2[日]
  3. φ=90°では T=32.1[日]

となる。

ダイナモ理論についての図はモンタナ大学の HP 参照

彩層の現象

  1. プラージュ (羊斑)
  2. スピキュール
  3. フレア
Ca プラージュ (スタンフォード大学、マウナロア天文台)
講演の様子 Hα彩層の写真 (暗状フィラメント (磁場の強い所) ではプラズマが浮かんでいるようすが観察できる)
He1(赤外線写真) 波長を変えることにより撮影できる
講演の様子 コロナ磁場の三次元構造 (動径磁場モデル)
太陽振動極大期→極小期の比較 (極小期になると棒磁石型、地球と同じ)

惑星間空間 (太陽風と太陽間磁場)

コロナの現象

講演の様子 K コロナ、マウナロア天文台資料

日食 (光球が見えないようにカバーをする)

白色光で撮影する

電波へリオグラフ (野辺山) 微弱な電波を使って太陽の表面を観察する
講演の様子

磁力線のつなぎ変え (NASA)

ようこう (軟 X 線望遠鏡) で低エネルギー観察する (全反射のしくみを使う)

白色光写真でも電波望遠鏡でも、コロナから絶えず激しくガスが噴出している様子が観測できる。

人工衛星による太陽風の観測 (CPC)

名古屋大学 太陽地球環境研究所では宇宙から出る太陽風の揺らぎを電波強度揺らぎ (シンチレーション) を用いて速度を測定する。

講演の様子

太陽活動の速度について

講演の様子

磁場の吹き出すスピードが場所によって異なる

太陽風の磁力線のパターン

講演の様子 太陽風の速度観察

黄道面内の惑星間磁場と衝撃波の電波

閉じた地球磁気圏のでき方

どこまで端があるかは実測されていない (10~100 倍以上、吹き流しのようになっている (想像図)

これではオーロラは発生しないので×

開いた地球磁気圏

講演の様子 不安定性、磁場のつなぎ替えが起きる (対流が起きる)

地球 (磁気圏嵐とオーロラ)

アンペールの法則

電離層電流と磁場

  • 西向き電流により南向きの地磁気電流が発生する。
  • 地磁気成分の表し方

茨城県柿岡で観測されている (H,D,Z 成分)

磁気嵐の観測が出来る。

地磁気擾乱 (柿岡、ホノルル、Leirvogur(アイスランド)、Vostok(ロシア))

様々な変動、地磁気嵐も場所によって何種類もある

講演の様子 10 か所の観測ステーションの X 成分を重ねて統一したデータを基に AE index(絶対値を基にした指標) を算出している

・地磁気 Dst-index(赤道付近)

→ global geomagnetic activity

・AL, AU の Bz 依存性 (西向き、東向き)

太陽黒点数と地磁気擾乱について

講演の様子 太陽黒点数と地磁気擾乱

太陽黒点数 (Rz) と地磁気擾乱指数 (Kp) は約 11 年の周期で変動することが分かっている。

Kg は W ピークを持ち、主なピークの出現は Rz のピークに依存することが分かっている。

オーロラの出現高度について

オーロラは地上 100㎞の場所に出現する。E 層と F 層に挟まれている。

極地研究所ではオーロラは筋状に観測できる。磁力線に粒子が巻き付いて発光している。

出現地域はモスクワ、ニューヨーク、フロリダ、キューバ、北海道など極地で観測される。年間 100 日観測できる場所もある。

オーロラの発光原理

オーロラの色は主にネオン、窒素、水素、酸素によるものである。酸素原子は真空度が高くないと観測できないため難しい。

太陽光とオーロラの光の比較

全天カメラによるオーロラの撮影を行い、オーロラの形状を観察する。

講演の様子 オーロラの光は離散的、ピーク出現をするのが特徴)
講演の様子 オーロラ電子の降込み、磁力線に沿って電子が地上に降込む)

窒素はピンク、酸素は赤色に発光する。

講演の様子 赤いオーロラ、O 原子による発光現象)
講演の様子 オーロラがどんどん拡がっていく様子が見られる。(層状のオーロラ)

オーロラは円状 (オーバル) に出現するが、スペースシャトル、人工衛星、地上など観測場所によって見え方が異なる

ブラウン管テレビとオーロラのメカニズム
講演の様子

電子銃を打ち込む原理が似ている。遠くからはカーテン状、下からはコロナ状に観察できる。

質疑応答

Q
太陽のエネルギーが地球磁気圏に沿ってオーロラになる→なぜ発光するか
A
磁力線に沿って降りてくる。大気の成分 (原子状態の酸素、窒素) と反応する。

酸素は赤、緑に発光、窒素はピンクと青色に発光する。

白っぽく見えるのは光の強度が強すぎるため。人間の目では見えない紫外線成分もある。

30 年前、ビデオカメラの感度が悪い頃は映らなかった。

Q
丸く光るのですか?
A
上空 1000㎞だとリング状に観察できる。
Q
北海道で 10 年に 1 度
A
大きなオーロラが発生すると観測できる。南向き成分が強くなることが原因。太陽の活動とは無関係。太陽の磁場、太陽風がどう吹くか、惑星間空間磁場によって決まる。

いわゆる「太陽活動」というのは黒点数のことであり物理量は不明である。黒点数が多ければ多分太陽内部の活動が激しいであろうという推測。

Q
地球の磁場、太陽の磁場 地球とは違うのか
A
発電機のダイナモ理論と同じ

中が液体である地球の磁場は数式で表され、初期条件を与えれば自転、対流などによりダイナモが起きることがシミュレーション可能である。

太陽は中がガス状になっていると考えられるが不明。まだシミュレーション化は無理。物理的条件でなく、現象的な理論で説明されている段階である。地球磁場とは無関係である。

Q
オーロラはすごい大電流だが取り出せると活用できるのではないか
A
上空 100㎞なので取り出すのは難しい。被害はある。磁場によりシベリアなどの長距離の送電線に大電流が流れ変圧器が故障するなど
Q
オーロラを観測するにはどこが一番よいですか
A
カナダが低緯度で見られる。地磁気の方向がカナダ方向にずれているため。夏は白夜で×。春は寒い。9 月の秋がベスト、昼でも観測できる。

太陽活動が低下すると観測しやすくなる。激しいと赤く発光する。これから黒点数が減っていくことが予想されるので 2~3 年先の 9 月カナダに行って観測するのがお勧めである。

参加者感想

  • 太陽について、思っていたよりも分からないことが多いという事実を知って驚きました。
  • オーロラ活動はもっと単純な原理かと思っていましたが、話を伺うと、大変複雑な現象で、本当にびっくりです。ありがとうございました。


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