大人の RIKA 教室

平成 28 年春期 第 4 回 (7 月 2 日)「私たちの生活を支える排水・汚水・汚泥処理について」

講演会お知らせ
日時
平成 28 年 7 月 2 日 (土) 14:00∼16:00
場所
中部大学 521 室 (新 5 号館 2 階)
講師
栗田工業株式会社 六田 祐二氏 嶌田 有博氏

栗田工業株式会社は、「水」をキーワードに顧客の課題解決に貢献する会社です。海軍士官であった栗田氏がボイラー技術に長けていたことから、戦後、神戸に進駐軍のドラム缶洗浄を主とした企業を起ち上げたことに始まります。浄水・工場排水処理・し尿処理・下水処理等の水処理施設の運転管理・補修・メンテナンス事業、工場などのボイラ-・冷却水系・排水処理系などにおける水に起因するトラブルの防止、各種水質・騒音・振動・臭気・アスベスト・土壌などの環境分析、水処理ソフトの提供など水環境に関する幅広い事業を展開し、東海地区にクリタス、クリタ・ケミカル東海、クリタ分析センター、クリタ・ビルテック、クリテックサービス、クリタ・ビーエムエス、亀山駐在所、四日市駐在所といった拠点があります。

従業者数 4000 名、売上 2000 億円です。またドイツ、北欧の企業とアライアンス予定です。

今回の講演では、

  1. 好気性排水処理と嫌気性排水処理について
  2. 固体廃棄物処理技術 (乾式メタン発酵技術) について
  3. 宇宙環境 (宇宙飛行士のため) の水について

分りやすくお話をいただきました。

概念図
概念図
講演の様子 (写真:六田祐二氏)

好気性排水処理と嫌気性排水処理

概念図

排水処理と固形廃棄物処理に大別される。よく知られているように我々文明社会における最終的な分解処理は微生物に依存している。排水処理は好気性生物による処理と嫌気性生物による処理に区分される。

好気性生物処理と嫌気性生物処理の違い

概念図

現在、最も多い排水処理システムは微生物 (活性汚泥) の働きで汚水を浄化するものである。沈降性のある微生物の管理を行う。

嫌気性生物による処理は「酸素を用いず、二酸化炭素の発生量が少ない。またメタンガスが発生する」という特徴を持つ。エネルギー回収が可能 (メタン、水素) 。省スペース (好気性処理の 1/2~1/3) 。余剰汚泥が少ない。酸素が不要であるといったことから、処理能力は好気性システムの 10 倍である。これらの特徴を活かした嫌気性排水処理設備を開発し、栗田工業は国内 100 件以上の企業にすでに納入実績がある。

今後の排水処理設備について

概念図
概念図
講演の様子 (写真:熱心に聞き入る聴講生)

嫌気性処理設備は排水処理を発電事業に変えていくことができ、再生可能エネルギーとして売電事業が見込める。

固体廃棄物処理技術 (乾式メタン発酵技術) について

講演の様子 (写真:嶌田有博氏)

高度成長期以降の「経済成長=豊かな暮らし」という考え方を経て、漸次「持続可能な発展」という考え方へ発想基準が現在移行しつつある。

そのような時代における「乾式メタン発酵」の技術はどのような意義があるかについて講演をいただいた。

乾式メタン発酵とは

今まで「ごみ」として廃棄していた紙屑・生ごみをエネルギーに変換することが可能になる。カーボンニュートラルが可能になる。持続可能な社会を見据えた今後の技術といえる。

乾式メタン発酵で何ができるか?

  1. 乾式メタン発酵で「廃棄物」⇒「エネルギー」に変換可能。
    紙くず・生ごみがエネルギーに!
  2. 乾式メタン発酵で生出すエネルギーは CO2 を増加させない、再生可能エネルギー。
    バイオマス (化石燃料を除く動植物に由来する有機物) を燃やしても、発生する CO2 は、バイオマスの成長過程で大気から取り込まれる CO2 なので大気中の CO2 を増加させない。
    【カーボンニュートラル】
  3. 乾式メタン発酵の導入で生活感・価値観に変化を生みだせる。
    紙くず・生ごみを分別したら、エネルギーになる、CO2 削減に貢献している意識が持ちやすくなり、もったいない事等が日頃の生活の中で気がつき、生活に根差した価値観にも影響。

各メタン発酵技術の比較

概念図

乾式法はガスが大量に発生する。都市ゴミ、固形廃棄物を原料とできる。


概念図

廃棄紙類から大量のバイオガスが得られる。

古紙回収の対象外のダイレクトメールやティッシュ、シュレッダーゴミやカレンダー、レシート、紙コップ、ガムの包装紙なども資源対象になる。

乾式メタン発酵実証試験施設 (穂高広域施設組合)

  1. バイオマスエネルギー地域システム化実験事業 (H17~H21 年度)
  2. 戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業 (H22~24 年度)
施設
ガスバック
投入棟
機械棟
メタン発酵槽

施設写真-1

施設写真 投入ポンプ
施設写真 メタン発酵槽
施設写真 ガスバック
施設写真 脱臭設備

宇宙の水

概念図

宇宙に長期間滞在するためには、地上からの輸送を最低限に抑え、限られた資源をやりくりしなくては成りません。

現在それらの水はアメリカ航空宇宙局 NASA の水再生システムで処理・再利用していますが、装置が大きく、重く、多くの電力が必要で、頻繁にメンテナンスもしなければならないといという問題がありました。

クリタは、2011 年から JAXA と共同で、小型で軽量、消費電力も少なくメンテナンスフリーで、現在 ISS で使用している水再生システムよりも高い回収率で NASA の飲料水基準をクリアできる次世代水再生システムの研究開発にチャレンジしています。

概念図

そして 2015 年、宇宙向けの水処理方式と ISS への搭載を想定した装置仕様を有する、処理能力 1 日あたり 1 L の地上実証装置が完成。

今後、「きぼう」日本実験棟における実証用の打ち上げ装置を製作し、2016 年度に実証試験が行われる予定です。おっと言い忘れてました。何の水を処理して回収するかといううと

人間のおしっこです。この設備で先程申し上げました通り 1 L の飲料水を回収します。回収率つまり生産されたおしっこの原水というか原料としてのおしっこで割るわけですが、約 85% 程度となります。

概念図

大きさは高さ 48 cm、幅 53.5 cm、奥行き 60 cm。

現在 ISS で使用されている水再生システムと比較して、大きさと重さを 4 分の 1 まで小型・軽量化、消費電力を従来の 2 分の 1 に抑えることに成功しました。この設備で尿を Ca, Mg, アンモニア成分を除去し H+ と OH- に電気分解、電気透析、濃縮します。

参加者の質問

Q. 宇宙空間で、自身の排泄した尿を飲用に再利用可能なことが分り、興味深いです。海外の井戸水の中には地下水でそのまま飲用できないものがあるが、御社の機械を土入すれば、重金属などをきちんと処理することは可能でしょうか。



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講演の様子
後援:春日井市教育委員会