大人の RIKA 教室

平成 28 年秋期 第 1 回 (9 月 24 日)「木曽川と鵜飼について」

講演会お知らせ
日時
平成 28 年 9 月 24 日 (土) 14:00∼16:00
場所
犬山市福祉会館 502 会議室
講師
中部大学 中部高等学術研究所 石田 芳弘氏

石田芳弘氏 講演概略「まちづくり物語」

政治家を志した理由

  • 市長選挙出馬の動機:“ふるさと”, “町おこし”
  • 政治的エネルギーのもとは郷土愛から市長選挙はギリシャ都市国家の直接民主主義のイメージと重なった。
講演の様子

地方と中央

1995 年は 20 世紀から 21 世紀の峠。“地方分権の重要性”が議論され始めた。グローバル化、人口減少の流の中で中央集権から民主主義の原則である「近接性」(住民に近い現場主義) が時代の潮流になる。

犬山のまちづくり

日本の都市の多くはもともと城下町である。ところが明治政府は廃城令で城をつぶした。また戦後は、経済成長の価値観の下で政策が進められ、都市計画のもとに道路拡幅、高速道路を作ることが蔓延してきた。1970 年代犬山市でも、江戸時代の古い町並みを壊し、大資本の誘致、大型商業施設の導入、街道を 17 m 道路に拡幅する予定があった。しかし、犬山市は城下町の町並みを重視し 1990 年代に地域発信型「歩く町づくり」の取組を始め、街道拡幅せず 5 m 道路を守った街づくりを進め都市計画道路は導入しなかった。その結果、人がたくさん戻ってきた。新しい店舗が次々と開店し、県外などから移住を希望している人がたくさんある。1990 年代から、それまでの車中心の近代化から、文化財を残し、古い町並みを見直す価値観へと変化してきた。犬山市、有松、足助、尾鷲、飛騨、古川、郡上、松阪、伊勢など。地方発信型 (反体制側) であったが年月を経て現在では体制側が町並み保存の方向へ変化した。国が行うべき仕事と自治体が行う仕事の住み分け問題。

人を引き付けるものはスクラップ&ビルド (経済効率のため 20 年で造り替える) ではなく伝統を見据えて学ぶ持続可能への長期展望にあるのではないか。城下町の町並みには、人を引き付ける既視感 (デジャビュ) が存在する。

講演の様子

日本の歴史と伝統、木曾川への思い

日本古来の伝統的な祭りは、地域に根差した自然、先祖崇拝とつながりがある。

日本の祭の根っこには縄文の魂があり、自然の中に神、祖先を結びつけて捉えている。

鵜飼いの歴史:日本書紀に記述がある。延喜年間 (901-923 年) 藤原俊仁が長良川の鮎を天皇に献上した。織田信長が禄を与えていた。徳川家康は長良川の鵜匠を 10 両ぶちで召し抱えていた。明治には長良川周辺が宮内省の鮎漁の御猟場になった。

鵜飼いは全国の 13 ヶ所で行われている。

木曽川、長良川、笛吹川 (山梨)、宇治川 (京都)、大堰川 (京都)、有田川 (和歌山)、馬洗川 (広島)、高津川 (島根)、錦川 (山口)、肱川 (愛媛)、三隅川 (日田)、筑後川 (福岡)、田島川 (富山)

本来は生活のための「効率のよい漁」として行われた鵜飼だが現在は「観光対象」になっている。鵜飼サミットを開催したこともある。犬山市では鵜匠が観光課の職員となっている。

鮎は川で生まれ、海へ渡り、再び生まれた川を覚えていて帰ってくる性質があるが、ダムで堰き止められた現在の鵜飼は稚魚を川で放流し川だけで育っているものを使って行っている。戦後の日本の文化は川の文化を軽視しすぎてきた。

中根氏 (鵜匠) のお話

講演の様子
講演の様子
講演の様子

講演の様子 中根氏におとなしく抱かれている川鵜。頭が白く海鵜より体が小さい。
  • 鵜は鵜様と呼ばれ、神事と縁が深い。中国でも鵜飼がある。日本の鵜飼のほうが歴史は古く、延喜式 (10 世紀) で日本各地の産業の様子を記しているが、尾張・美濃の鮎を朝廷へ献上した記録がある。日中の鵜飼の国際交流も行われている。
  • 会場へ海鵜、川鵜を一羽ずつ連れてきて、紹介してくださった。20 年前に中根氏が中国から連れてきた鵜から生まれたという川鵜は、すり込みがされており、まるで犬や猫のように懐き、木曾川に放して笛を吹くと自分で戻ってくる。カメラを構えると羽を広げてポーズをとってくれた。中根氏が姿を消すと探し求めていた。川鵜は現在ではワシントン条約で輸入が難しい。
  • 鵜飼は当時の支配階級のハイテクで普段は長良川の鵜匠に預け、飢饉の時に魚を捕ってしのいだという記録もある。維持費は高額でタイではゾウを献上すると相手が没落するという話もある。
  • 鵜には海鵜、川鵜がいるが、鵜飼いには海鵜が適している。川鵜はやや小ぶりで性格が穏やかなので、漁には向かない。海鵜は人には懐かない。海鵜と川鵜が一緒に見られることは非常に貴重な経験である。
Q.
木曽川は浅いですか?
A.
7~8 m です。
Q.
鵜飼は釣り竿よりも効率が良いのですか。
A.
鳥は巨大な恐竜の DNA を引いていることが分っている。鵜の目鷹の目の言葉の通り、大変視力がよい。翡翠色の目をしており、幸せを呼ぶと信じられている。
Q.
夜は篝火を焚くが昼間も行うのですか?
A.
夜、満月に行う。篝火は鳥の影に鮎が驚いて動くのを鵜が捉える。中国の鵜飼は昼に行う。
Q.
鵜はどうやって繁殖 (野生を捕まえる) させるか?
A.
日立市でウミウを捕る。鵜は 10 年働く。外国から買うことは出来ない。人工繁殖をさせることは異端扱いを受けた。
Q.
鵜を捕えることは動物虐待ではないですか
A.
芭蕉が「面白うてやがて哀しき鵜飼かな」と句を詠んだ。6 代目犬山城主の成瀬正典は生類憐みの令で鵜飼を禁止し鵜匠を追放した歴史がある。鳥の本性を使って命 (魚) を取るということに心が痛むのは日本人古来の感性であり、これからは優しい関係の鵜飼が大切になると思われる。全国で鵜の文化について深く考える人はいなく、研究、出版物もほとんどない。


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講演の様子
後援:春日井市教育委員会