大人の RIKA 教室

平成 29 年春期 4 回 7 月 22 日 (土)「超伝導の理論研究の最前線」

講演会お知らせ
日時
平成 29 年 7 月 22 日 (土) 14:00~16:00
場所
中部大学 611 室
講演者
名古屋大学大学院 理学研究科 物理学教室
紺谷 浩 氏 講演
  1. 電子と量子力学 (BCS 理論)
  2. クーパー対形成 (超伝導)
  3. 銅酸化物高温超伝導体 (1986~)
  4. 鉄系高温超伝導体 (2008~)
  5. 最近の高温超伝導体 (2014~)

電子とは何か

  • 自転をしている (スピン)→ 絶えず磁界を作っている (永久磁石)
  • 電荷をもつ
  • スピンが同数→磁荷ゼロ

磁石 (鉄) とは何か? 人類発生以来 2000 年以上に亘る難問である。

多数の電子スピンが同じ方向に揃う (磁石につく) 性質を持つ

絶縁体とは何か

電子が動かない状態 (電子の氷)

ジョセフソン効果 (トンネル効果) 波であるクーパー対は絶縁体という壁を乗り越えて進む。 (古典力学ではクーパー対は絶縁層に跳ね返されてジョセフソン電流は流れない)

格子歪による電子間引力 (電子がクーパー対を組む)

ボーズ粒子

超流動 (ヘリウム) 沸騰 ある時点から沸騰が止まる (粘性ゼロ) ボースアインシュタイン凝縮 壁にくっついて重力を超えて容器の外へ出る。

なぜ電気抵抗がなくなるのか

クーパー対のボース凝縮

不確定性原理

古典力学
θ=0 で静止した状態
量子力学
θ=0 で静止できない (細かく振動する)⟨θ2⟩≠0
粒子は完全に静止できない。
  • Δx⋅Δvh/me
  • me:電子の質量
  • Δv∼(h/ma)→光速の 1/100
  • ma:電子の間隔
    金属中の電子の速さ

ある瞬間に場所を特定すると (Δx→0)、発散的に増大していく (Δv→∞)

軽い物質では不確定性原理が効いてくる

応用例

MRI、リニアモーターカー (ロスなく大電流を起こすことが可能) 強い磁石

歴史

1908 年
カメリン・オンディス (ヘリウムの液化)

低温物理の幕開け (金属の電気抵抗の研究)

1911 年
水銀において超伝導現象 (完全にΩ=0) を発見 (完全導体)

永久電磁石 (1∼2 年間放置) 解決するまで 50 年かかる

1933 年
マイスナー効果 (超伝導体の上に磁石が浮く)

完全導体+完全反磁性

アインシュタイン、ハイゼンベルクも解けなかった

圧力下で超伝導になる単体元素 (清水克哉) 大阪大学

軌道の自由度が超伝導をもたらす (2010 年) 紺谷「軌道ゆらぎ超伝導機構」

More is different.

1023 個の電子を物質内に閉じ込めると思いもよらない新発見がある。

希土類金属の人工超格子 (松田祐司)

銅酸化物高温超伝導体 (Tc∼160 K)

スピン揺らぎ理論

2008 年- 鉄系超伝導体 Tc∼60 K (>100 K)

(細野秀雄)2013 年トムソンロイター引用栄誉賞

軌道ゆらぎ理論

新規高温超伝導体 (Tc=200 K)

  • IGZO 系透明薄膜トランジスタの発見
  • FeAs 面に電子を閉じ込めた
  • H2S(硫化水素) 最高の Tc を持つ

室温超伝導への夢 ---- 地球内圧力 (最高圧) で金属化する (M.I. Eremets 2015 年)

物性物理は理論と実験の理想のサイクルにより発展してきた。

  1. 理論的予言→実験的検証
  2. 実験的新発見→理論的解明
講演の様子
講演の様子
講演の様子
講演の様子
講演の様子

質疑応答

Q
クーパー対が 2 つしかない理由は? もっと多くてもよいのでは
A
理論的にはあり得るが、(4 個、6 個) どの状態が一番安定しているか、最初に起きた状態だけが実現する。クーパー対の電荷はジョセフソン素子により-2e (つまり 2 電子対) であることが観測されている。
Q
電子の働きで超伝導になる。実験家は材料をどう選んでいるか?
A
偶然見つかり、後で改良していく。銅酸化物高温伝導体の発見以降、様々な遷移金属酸化物の研究が活性化し、強相関電子系の物理が大きく発展した。鉄系超伝導体の発見以降は、軌道自由度の重要性に対する理解が深化した。


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講演の様子
後援:春日井市教育委員会